(^_-)-☆TPS時代 3 [押出成形]

 3260 品質管理の手法を使って、不良の種類と頻度をヒストグラムに表し、多いものから、少なくするための対策をする、なんていう、部外者がするようなことをのんびりしていても仕方がない。感覚的に、どんな不良が多いか、何が難しくて、製品がなかなかできないのか、感じるので、それらを、行きあたりばったり、解決していった。思い付きですべてをやっていた。指示をして、人にやってもらうのではなく、自分で納得できるやり方でやっていた。半年もしないうちに、私が一番、うまくなっていた。それでも、金型の改良をすれば、もっと楽に、歩留を上げることができると思い,実行していった。

チューブの製造方法は、密着型キャリブレーション(C.Cie直接バキュームで吸って、内壁に押し付けて外径を決める、外径に合わせた内径のC.Dieが必要)しかなかった。このタイプは、製品の硬度がある程度大きい樹脂、バキューム外径を周りから引っ張るので、引き取りで製品が伸びてしまわない樹脂、固まったときの硬さと、引っ張られて伸びてしまわないこと、が重要。硬さもそうだが、径と厚さの関係もある。要するに、限られた樹脂、限られたサイズのチューブしかできない。親会社の一つだった、近所の臼井国際という会社用にナイロン6で8φ×11φのチューブを作っていた。
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C.Dieとそれを取り付けるキャリブラーの一種

その後、HDPEのチューブを頼まれた。これは、また、難しい。固まったときに硬いから、C,Cieは、6ナイロンと同じでよかったが、ノズルから出てきた溶融樹脂が、円錐状に伸びてくれない。キャリブに通すのが難しい、引き落としが三倍以上あってもその他樹脂は細くすることができるが、HEPEは、引き落としをほとんど無くす必要があったが、それでも、難しい。そして、もう一つの問題は、熱伝導率が早く、水を指に付けて引っ張ると、固まってしまって、伸ばせない、水を付けないで摘まんで引っ張るので、完全に摘まんでしまうと火傷をしてしまう。摘まむか、摘ままないか、微妙な摘まみ方を繰り返し引っ張る。それでも、普通に火傷をする。火傷の上に火傷を重ねる。誰もが、一回やってみて、その難しさに、手をださない。私がやるしかなかった。

そのうえ、この樹脂は、他の樹脂と馴染まないので、例えば、LDPEを流しておいて、置き換えるという手法もできない。

もう一つの問題は、C,Dieに通した後、バキュームをしっかり効かせて、外径を固まらせて、引っ張らないと、密着していないところが伸びてしまって切れてしまう。引取機で引っ張り始めるまで、渾身の力で、手で引っ張り続けなければならなかった。すこしでも、C,Dieの入り口で密着しないと、切れてしまった。手で引っ張るとき、速すぎれば、密着しなくなる、遅すぎると、C.Dieの前で膨らんでしまって、ついに引っ張れなくなってしまう。早すぎず、遅すぎず、一定の速さで引っ張らなければならない。そして、引取機で引っ張りだしたとき、直ちに、速度をいじるか、スクリュー回転をいじるかして、C.Dieの前で、適当なふくらみにしなければならない。

多分、今でも、HDPEの立ち上げをうまくできる人は、そういないと思う。HDPEとPOMのチューブの立ち上げとまともな製品ができるようになれば、溶融押出成形では、一人前と言えるでしょう。

そして、その他の樹脂、サイズ、プロファイルなど、あらゆる要求に対応できる成型方法を作り出すことになった。丸棒、板などの成型方法にも不満があって、それにも取り組んだ。義務や役というより、本能的なものだった。
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静岡大橋の西側。
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